「重い重量を持たないと筋肉はつかない」は思い込みかもしれません。力丸トレーナーが解説します

By 白石力丸 / 2026-09-26

Rikimaru Shiraishi

こんにちは、パーソナルトレーナーの力丸です。

「筋肉をつけたいなら、とにかく重い重量を扱わないといけない」

こう考えている方、実はとても多いです。

ジムで隣の人が高重量を持ち上げているのを見ると、

「自分も、もっと重い重量に挑戦しないといけないのかな」

そんな焦りを感じたことがある方も、少なくないのではないでしょうか。

僕自身、ベンチプレスの競技をしていますし、重い重量を持ち上げることの達成感はよく分かります。

ただ、トレーナーとして多くの方を指導してきた中で、はっきりお伝えしたいことがあります。

それは、

「筋肉を大きくするために、高重量にこだわる必要は、実はそれほどない」

ということです。

今回は、その理由を科学的な視点から整理しつつ、僕自身の考えもお話ししていきます。

そもそも「筋力アップ」と「筋肥大」は目的が違う

まず、前提として知っておいてほしいことがあります。

トレーニングには大きく分けて、

  • 筋力(できるだけ重い重量を、一瞬だけ持ち上げる力)を伸ばすトレーニング
  • 筋肥大(筋肉そのもののサイズ)を狙うトレーニング

という、2つの異なる方向性があります。

この2つは、似ているようで、体の中で起きていることが違います。

筋力を伸ばす仕組み

高重量・低回数(目安として1〜6回程度)でトレーニングすると、体は「一度により多くの筋繊維を動員する神経の使い方」を上達させていきます。

これは、筋肉そのものが大きくなっているというより、「すでにある筋肉を、より効率よく使えるようになっている」状態に近いです。

トレーニングを始めたばかりの時期に、筋肉のサイズはあまり変わっていないのに、急に扱える重量が伸びることがあります。あれは、まさにこの「神経の使い方が上手になった」ことによる変化です。

筋肥大を起こす仕組み

一方、筋肉そのものが大きくなるためには、

  • 筋肉に十分な張力(force、負荷)がかかること
  • そのセットを、ある程度「限界に近いところ」までやり切ること

この2つが揃うことが重要だとされています。

ここで大事なポイントがあります。

この「限界に近いところまでやり切る」という条件さえ満たせていれば、使う重量そのものは、実はそこまで厳密でなくても良いということです。

高重量にこだわらなくてもいい、科学的な理由

「限界近くまでやれば、重さはそこまで問わない」

これは、僕の個人的な感覚だけでなく、複数の研究で支持されている考え方です。

低〜中程度の重量(1回に持ち上げられる最大重量の60〜80%程度)でも、セットをしっかり追い込めば、高重量でのトレーニングと同じくらいの筋肥大が得られることが、比較研究で報告されています。

さらに言えば、もっと軽い重量(60%を下回るような重量)であっても、限界近くまで回数を重ねれば、同じように筋肉のサイズを増やせる可能性があることも分かってきています。

つまり、

「筋肉を大きくする」

という目的だけを考えるのであれば、

「毎回、限界ギリギリの高重量に挑戦し続けること」

は、必須条件ではないということです。

僕はこれを知ったとき、正直「もっと早く、初心者の方にこの考え方を伝えたい」と思いました。

それでも、高重量トレーニングに意味がないわけではない

ここまでの話を聞くと、

「じゃあ、重い重量を扱う必要はもうないのでは?」

と思う方もいるかもしれません。

ただ、それは少し違います。

高重量でのトレーニングには、筋肥大とは別の、はっきりとしたメリットがあります。

  • 神経系の使い方が上達し、発揮できる力そのものが大きくなる
  • 骨密度や関節の安定性にも良い影響が期待できる
  • スポーツなど、瞬発的な力を発揮する場面でのパフォーマンスが上がる

なので、僕の考えとしては、

「筋肉を大きくしたいから高重量が絶対に必要」

というのは思い込みですが、

「高重量トレーニングそのものが不要」

というのもまた、違う話だと思っています。

目的によって、扱うべき重量は変わってくる。それだけのことです。

力丸が伝えたい3つのこと

ここまでの内容を踏まえて、僕が特に大切だと思っていることを3つにまとめます。

  1. 「重さ」より「限界近くまでやり切れているか」を意識する 同じ10回でも、余裕を持って終えた10回と、ギリギリ10回目を挙げた10回では、筋肉への刺激がまったく違います。
  2. 重量にこだわりすぎて、フォームを崩さない 「重さを扱うこと」が目的になってしまうと、狙った筋肉に効かせられないだけでなく、ケガのリスクも上がります。フォームが崩れるくらいなら、重量を落として、丁寧にやり切るほうが、結果的に近道になることが多いです。
  3. 自分の目的に合わせて、重量の使い方を選ぶ 「大会に出たい」「とにかく体を大きくしたい」「健康のために続けたい」など、目的によって最適なやり方は変わります。他の人の重量と、自分の重量を比べる必要はありません。

僕自身、この考え方に助けられました

僕は競技柄、高重量を扱うトレーニングを日常的に行っています。

ただ、体を大きくしたい時期には、必ずしも「毎回、限界の重量に挑戦する」というやり方だけをしてきたわけではありません。

むしろ、扱う重量を少し落として、その分回数を増やし、「効かせること」に集中する期間を作ったほうが、体つきがしっかり変わっていく実感がありました。

僕がこれまで見てきた中でも、「高重量が扱えること」と「筋肉が大きいこと」は、必ずしもイコールではありません。

軽めの重量でも、丁寧に、限界近くまで追い込めている方のほうが、しっかり筋肉がついていくケースを、現場で何度も見てきました。

「今日は思ったより重量が伸びなかったから、意味がなかった」

そんな風に落ち込む必要は、まったくありません。

「今の自分に合った重量が分からない」と思ったら

とはいえ、

「限界近くまでやり切る、と言われても、その感覚が分からない」

「今の自分にとって、適切な重量がどのくらいか分からない」

という方も多いと思います。

これは、実際に体を見てもらいながら、少しずつ感覚をつかんでいくのが一番の近道です。

自己流で「これくらいがギリギリかな」と判断し続けるより、一度専門家にフォームと負荷の感覚をチェックしてもらうだけで、その後のトレーニングの質が大きく変わることがあります。

重さの数字にとらわれず、自分の体としっかり向き合うこと。

それこそが、遠回りに見えて、実は一番の近道だと僕は思っています。

プロフィール

力丸(りきまる) パーソナルトレーナー歴10年

2025年 第1回 品川大森杯ベンチプレス選手権大会 男子クラシック(ノーギア)74kg級 優勝(自己ベスト155.0kgで階級1位)

マッスルゲート埼玉/関東圏オープン戦 メンズフィジーク172cm以下級 優勝

2020北区オープン メンズフィジーク172cm以下級 優勝

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