By 白石力丸 / 2026-09-11
こんにちは、パーソナルトレーナーの力丸です。

「筋肉をもっと早くつけたい」
トレーニングをしていると、誰もが一度はそう思うのではないでしょうか。
SNSを見れば、いろいろな情報が流れてきます。
「このサプリを飲めば一気に筋肉がつく」 「このトレーニング法が最速らしい」 「毎日追い込めば追い込むほど成長する」
正直なところ、こうした情報の中には、根拠がはっきりしないものも少なくありません。
一方で、運動生理学や栄養学の研究が積み重なってきたことで、「筋肉を効率よく増やすために何が重要か」については、ある程度共通した見解が見えてきています。
今回は、そうした科学的な知見をベースにしながら、僕がトレーナーとして現場で感じていること、大切にしていることも合わせてお話ししていきます。
筋肉をより速く増やすための科学的根拠、6つのポイント

結論から言うと、「これさえやれば一瞬で筋肉がつく」という魔法のような方法はありません。
むしろ、いくつかの基本的な原則を、どれだけきちんと積み重ねられるかがすべてだと、僕は考えています。
ここでは、その中でも特に重要だと感じている6つのポイントを紹介します。
1. 漸進的過負荷(少しずつ負荷を増やしていくこと)
筋肉が大きく、強くなる一番の理由は、「以前よりも大きな負荷が体にかかったから」です。
同じ重量、同じ回数のトレーニングをずっと繰り返していても、体からすると「もう慣れた刺激」でしかありません。刺激に体が適応してしまうと、そこから先の成長は止まってしまいます。
負荷を増やすといっても、方法は重量を上げることだけではありません。
- 同じ重量で回数を増やす
- セット数を増やす
- 可動域を広げる、フォームの精度を上げる
こういったやり方も、立派な「負荷を上げる」方法です。
僕自身の考えとしては、初心者の方ほど「重量」よりも先に、フォームの再現性を上げることを優先してほしいと思っています。フォームが安定してはじめて、そこに乗せた重量の変化が、正しく成長の指標になるからです。
2. タンパク質をしっかり摂ること
トレーニングは、筋肉に「壊れて、また作り直してください」という指令を出す作業です。
その「作り直す」ための材料になるのが、タンパク質です。
一般的な目安として、体重1kgあたり1.6〜2.2g程度のタンパク質を摂ることが、筋肉の合成を効率よく進めるうえで推奨されています。体重60kgの方であれば、1日あたりおよそ96〜132g程度が目安になる計算です。
大切なのは、「一度にたくさん摂ればいい」というより、1日の中で数回に分けて、コンスタントに摂り続けることだと僕は考えています。朝・昼・晩、それぞれの食事にタンパク質源を入れる。それだけでも、体は着実に変わっていきます。
3. 睡眠と休養を軽視しないこと
これは、初心者の方だけでなく、経験者の方にも意外と忘れられがちなポイントです。
筋肉は、トレーニング中に成長しているわけではありません。トレーニングでダメージを受けた筋肉が、休んでいる間に修復され、以前より少し強く、大きくなる。これが筋肉が育つ仕組みです。
睡眠中には、成長に関わるホルモンの分泌が活発になると言われています。逆に睡眠不足が続くと、回復が追いつかず、頑張ったトレーニングの効果が十分に発揮されないことがあります。
理想は、1日7〜9時間程度の質の良い睡眠。そして、週に1〜2日は完全に体を休める日を作ること。
「頑張った分だけ、ちゃんと休む」
これも、トレーニングの一部だと僕は捉えています。
4. ほんの少しだけ、カロリーを多く摂ること
筋肉を増やすには、材料(タンパク質)だけでなく、それを作るためのエネルギーも必要です。
そのため、消費カロリーよりも1日あたり200〜500kcalほど多く摂る「軽いカロリー余剰」の状態を作ることが、効率的な筋肉づくりには有効だとされています。
ここで注意してほしいのが、「増やせば増やすほどいい」わけではないということです。
余分なカロリーが多すぎると、筋肉だけでなく脂肪も一緒に増えやすくなります。目安として、体重が週に0.25〜0.5%程度、ゆるやかに増えているかどうかを見ながら、食事量を微調整していくのがおすすめです。
体重の変化を見て、「増えすぎているな」と感じたら少し減らす。「全然増えないな」と感じたら少し増やす。このくらいの感覚で十分だと、僕は思っています。
5. 同じ部位を、週に2〜4回程度鍛えること
一つの部位を週に1回だけ、とことん追い込むトレーニング方法もあります。
ただ、近年の研究では、同じ筋肉を週に2〜4回程度の頻度で鍛えたほうが、週1回だけよりも効率よく成長しやすい傾向があるとされています。
理由としては、トレーニングによって高まった「筋肉を合成しようとする働き」は、だいたい24〜48時間ほどで落ち着いてくるためです。週1回だと、そのタイミングを1回しか使えませんが、週に複数回に分けることで、その働きを繰り返し引き出すことができます。
例えば、
- 上半身と下半身に分けて週4回
- 押す種目・引く種目・脚に分けて週6回
- 全身をまんべんなく鍛える日を週3〜4回
といった組み方が考えられます。
大切なのは、1回あたりのボリュームを詰め込みすぎないこと。週の中で、うまく分散させるイメージです。
6. 何より「続けること」
ここまで5つの科学的なポイントを紹介してきましたが、個人的には、これが一番大事だと思っています。
筋肉は、1回のトレーニング、1週間の食事で劇的に変わるものではありません。
初心者の方であれば、しっかり継続できていれば1年である程度の変化が出てくることもありますが、トレーニング歴が長くなるほど、その変化のスピードはゆるやかになっていきます。
それでも、変化がなくなるわけではありません。
小さな積み重ねを、何ヶ月も、何年も続けていく。
その先にしか、「変わった」と実感できる体は待っていないと、僕は考えています。
科学的根拠より、僕が大切にしていること

ここまで紹介した6つのポイントは、いずれも研究に裏付けられた、比較的信頼できる考え方です。
ただ、正直に言うと、僕はこれらの知識そのものよりも大事にしていることがあります。
それは、
「その人が、無理なく続けられる形に落とし込めているか」
ということです。
どれだけ理論として正しくても、
- 毎回きっちり体重1kgあたり2gのタンパク質を計算する
- カロリーを1kcal単位で管理する
- 週6回、絶対にジムに行く
これを完璧にやり続けられる人は、実はそう多くありません。
僕は現場で指導していて感じるのですが、「正しさ」を追い求めすぎると、途中でしんどくなって、トレーニング自体をやめてしまう方がとても多いんです。
なので僕は、
「大枠の方向性は科学的根拠に沿わせつつ、細部はその人の生活に合わせて柔軟に」
という考え方を大切にしています。
タンパク質量も、カロリーも、頻度も、「だいたいこのくらい」で十分機能します。神経質になりすぎる必要はありません。
特に意識してほしい3つのこと
たくさんお話ししましたが、最後に、僕が特に意識してほしいと思っていることを3つにまとめます。
- 負荷は、少しずつでいいので確実に増やしていく いきなり大きく変える必要はありません。先週より少しだけ頑張れれば十分です。
- タンパク質・睡眠・カロリーは、「だいたい」で管理する 完璧を目指すより、ゆるやかにでも続けられる基準を持つことのほうが、長期的には結果につながります。
- 変化が見えなくても、焦らない 筋肉の成長は、直線的に進むものではありません。停滞しているように感じる時期があっても、積み重ねは続いています。
僕自身も、日々このバランスに向き合っています
僕自身、パーソナルトレーナーとして、また競技者として日々トレーニングをしていますが、正直、毎回すべてを完璧にできているわけではありません。
疲れが抜けきらない日もありますし、食事が理想通りにいかない日もあります。
それでも、大枠の方向性さえ大きく崩さずにいれば、体は少しずつ応えてくれる。これは、これまでのトレーニング人生の中で、僕が実感してきたことです。
2025年のベンチプレス大会での自己ベストも、特別な近道があったわけではなく、こうした基本の積み重ねの先にありました。
科学的根拠は、あくまで「地図」のようなものです。
その地図を頼りにしながら、実際に歩いていくのは、自分自身のペースでいいと僕は思っています。
「自分に合ったやり方が分からない」と思ったら
ここまで紹介した内容は、あくまで一般的な目安です。
年齢、体質、生活リズム、トレーニング経験によって、最適なやり方は一人ひとり変わってきます。
「タンパク質量は合っているのかな」
「今の頻度で本当にいいのかな」
「頑張っているのに、思ったように変化が出ない」
そんな不安があるときは、一人で抱え込まず、専門家に相談してみることをおすすめします。自己流で遠回りするより、一度フォームや生活習慣を見てもらうだけで、進む方向がぐっとクリアになることも多いです。
科学的根拠を知ることは、あくまでスタートラインです。
それを、あなた自身の生活の中でどう活かしていくか。そこに寄り添うことが、僕たちトレーナーの役割だと思っています。
あなたの「変わりたい」という気持ちが、ちゃんと結果につながるように、僕も全力でサポートさせていただきます。
プロフィール
力丸(りきまる) パーソナルトレーナー歴10年
2025年 第1回 品川大森杯ベンチプレス選手権大会 男子クラシック(ノーギア)74kg級 優勝(自己ベスト155.0kgで階級1位)
マッスルゲート埼玉/関東圏オープン戦 メンズフィジーク172cm以下級 優勝
2020北区オープン メンズフィジーク172cm以下級 優勝
